マネーロンダリング

私は橘玲(たちばなあきら)氏の作品が好きで、彼の作品は結構多く読んでいます。
このマネーロンダリングという小説は、初めて読んだ橘玲氏の作品です。Kindleの本日のセールで買って以来、実は半年ほどデバイスの中で眠っていたのですが、重い腰を上げてようやく読んだ記憶があります。というのも理系の私にはどうも金融機関の仕事にうとく、全くと言って良い程興味が沸きませんでした。マネーロンダリングというタイトルは、私の苦手中の苦手で、興味を全くそそらない内容なのですが、そんなタイトルだからこそトライした面もあります。

そして読み始めた結果、読み始めてしまったら最後、あまりに面白くて本を読むのが遅い私にしては珍しく平日にもかかわらず、この結構長い作品をたった2日で読めてしまいました。というのもこの作品はまず、読んでてハラハラするような場というか雰囲気の作り方が大変秀逸で、思わず自分もその世界に入り込んでしまったような気分になります。で、気づけばこの作品の世界観にどっぷりつかってしまい、、、

今回は、そんな金融サスペンス小説の金字塔マネーロンダリングを紹介します。

 

 

 

あらすじ

香港在住もぐりのコンサルタント・工藤をある日、美しい女・麗子が訪ねる。「五億円を日本から海外に送金し、損金として処理してほしい」彼女の要求は、脱税の指南だった。四ヶ月後、麗子は消えた。五億ではなく五十億の金とともに。すぐに工藤は東京へ。麗子と五十億の金はどこへ?マネーを知り尽くした著者による驚天動地の金融情報小説。
「BOOK」データベースより

この話は、お金にまつわるサスペンスです。ストーリーを書いてしまうと、読んだ時に全く面白くないので、今回はキャラクターや物語の舞台をメインに紹介することにします。というと全く書評ではないですが、それで作品の雰囲気を分かってもらえたら本望です。

 

 

元金融エリートの主人公と絶世の美女

この小説の主人公である工藤は、米国の証券会社に勤めていたエリートだったのですが、株で大きな勝負に出て失敗し、気怠い毎日を過ごしているところから始まります。頭がいいのに、飾らず、欲もない。そんな主人公が最高にカッコいいのです。ニヒルと形容すれば分かりやすいかもしれないけど、虚無的なだけにとどまらず、元エリートだけあって随所にきらりと光る魅力が備わっている主人公です。

さらにヒロインの麗子は誰もが振り向く絶世の美女ですが、なにか思いつめたような表情をしており、その冷めたしぐさもかっこよく感じます。こちらもニヒルというべきでしょうか?自分の美しさを知っていながら、それを惜しまず武器にするさっぱりした感じがカッコいいです。

この二人が織りなす物語なので、ストーリーは自然とクールな雰囲気になり、結局、小説自体がクールな雰囲気の小説になっています。ちなみに、この本のジャケット(表紙)は小説の雰囲気に合っていないです。私がこの本を買ってから読み始めるまでに半年もかかった原因はこのイケてないジャケットのせいでもある気がします。実際の雰囲気はこんなにダサくなく、もっとクールなものです。

 

 

際立つサブキャラクターたち

またサブキャラクターとして出てくる香港のやくざ、チンさんの底抜けに明るいキャラクターや、日本のやくざ黒川の鋭く緊張感のある雰囲気。そんな人物たちも素敵です。各国の悪党を対比させて書いているのですが、この雰囲気が大好きです。

主人公とヒロインだけでなく、この小説では各キャラクターが生き生きとしていて、著者の処女作とは思えないほど、文学的にも優れていると思います。

 

 

東京と香港という2つの舞台設定

舞台は香港の怪しい雰囲気のアンダーグランドの世界から始まります。ここでは主人公、工藤が気怠く生活しており、とても日本に生活していては味わえない雰囲気があります。しかし物語の中盤で主人公は東京に渡ります。そして東京では言わずと知れた日本の金融の世界があります。この2つの町の雰囲気のギャップの描き方も秀逸で、舞台が変わるたびに興奮し、読者を飽きさせない工夫はさすがです。著者は第三作目の、タックスヘイブンという小説で、現在私が住んでいるシンガポールを舞台に小説を書いています。住んでいる私から見てもこの描写は的確で的を得ています。この事からしても、この橘玲という著者は、舞台の描き方がとても上手だと思います。これ以上書いてしまうと、ネタバレしてしまうので、今回はこの辺で、、、

 

 

 

さて、如何でしたでしょうか?金融サスペンスといってもイメージが違うのではないでしょうか?私はなぜか読むのを構えてしまい、半年もタンスに(端末に)本を仕舞い込んでしまっていましたが、もっと早く読めばよかったなぁと思いました。この本は、小説として面白いだけでなく、金融の知識も同時に習得できる、優れものの小説です。面白い小説はないか?と聞かれたら私は真っ先にこの作品を挙げます。それくらい自信を持って進められる作品です。

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ABOUTこの記事をかいた人

元シンガポール在住のエンジニア。趣味は旅行と、本を読むことと、走ることと、ヨガと、サーフィンと、音楽を聞くことと、カメラと。。。何かに依存せずに自分を持っている人を尊敬します。