白夜

数ある名作を生みだしたロシアの文豪、ドストエフスキー。難解な長編も良いですが、今回は、わたしがドストエフスキーの中でも最高傑作だと思う短編小説、白夜を紹介します。(分かりやすいから好きなだけなのですが。)

 

 

 

あらすじ

 

ドストエフスキーには過酷な眼で人間性の本性を凝視する一方、感傷的夢想家の一面がある。ペテルブルクに住む貧しいインテリ青年の孤独と空想の生活に、白 夜の神秘に包まれたひとりの少女が姿を現わし夢のような淡い恋心が芽生え始める頃、この幻はもろくもくずれ去ってしまう。一八四八年に発表の愛すべき短編 である。

KindleHP内容紹介より

 

ドストエフスキーはこの作中で主人公を、孤独な夢想家として描きます。その主人公がある日いつものように街の人々を観察しながらが歩いていたところ、ある出来事がきっかけでナースチェンカというヒロインに出会います。
ナースチェンカは1年前、ある男性と1年後に会う事を約束しており、今日がまさにその日でした。主人公とナースチェンカは、二人で会話をしながらある男の事を待つのですが、ついに3日もあらわれなかった男に対し、絶望し、二人で恋に落ちてしまいます。
ひたすら3日間会話を重ねてきた二人にとって、その日は幸せの絶頂で、ペテルブルグの白夜の海岸を歩き回りました。将来の事、今後一緒に住むこと、そんな幸せに満ちた将来を描きながら。そんなとき、男は現れます。ナースチェンカは主人公に一度キスすると、男の下にすぐさま行ってしまいます。まさに白夜のペテルブルグに起きた奇跡のような繊細な物語です。

 

 

独特の文章構成

話の内容の9割が主人公とヒロインの会話に費やされます。奇抜なストーリー展開で目を引こうとしたりしないこのようなスタイルは、わたしの大好物です。笑

孤独な夢想家の主人公が、ナースチェンカに燃えるような恋をし、男が現れた瞬間にすべて砕け散るのは単なるバッドエンドの恋物語なのかもしれません。ですが、主人公が孤独な夢想家であるが故、どこかに美しさがあります。

あえて主人公の名前を出さずに、ヒロインの名前を出すことは、恐らく主人公を社会から隔離して書くためのテクニックなのかもしれません。この効果で、ヒロイン、ナースチェンカの美しさがひときわ輝きます。

 

 

美しすぎる背景描写

会話以外にももうひとつ特長があります。それは情景描写。この小説を読んでいる最中、まさにペテルブルグの白夜に身を置いているような錯角をしてしまいます。私はペテルブルグには行ったことがないですが、この小説を読んで以来、是非一度訪れてみたい街の一つになりました。出来れば白夜の中、主人公と同じように、街の人を観察しながら街を彷徨ってみたいものです。

 

 

サンクトペテルブルクの街

この奇跡が起こった白夜のペテルブルグは、レニングラード州の州都で、1914年までロシア帝国の首都だった街です。現在の首都モスクワには、1918年ソビエト時代に移管されました。

ペテルブルグは文化都市として有名で、作家ではゴーゴリやドストエフスキー、それ以外にも多くの音楽家や画家も生まれました。社会主義体制下で、どのような芸術が生まれたのか、一度この目で見てみたいものです。

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

元シンガポール在住のエンジニア。趣味は旅行と、本を読むことと、走ることと、ヨガと、サーフィンと、音楽を聞くことと、カメラと。。。何かに依存せずに自分を持っている人を尊敬します。