終わりの感覚 ジュリアン·バーンズ 新潮社

オススメ度

★★★☆☆ 星3

こんな時に

長編小説ではないので、さらりと隙間時間読めるのでおすすめだ。

レビュー

まずは、あらすじをみてみよう。

穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。

引用元:終わりの感覚 ジュリアン・バーンズ

一度読み終わり、最後の結末に混乱し、もう一度読み返しました。

あらすじにも書いてあるように、衝撃的エンディングでした。

いやはや。

というより、あれ?

何?

ちょっと理解できない??

これで終わり?

となり、その答えを探すためにもう一度読み直したのでした。

人によっては、いろいろな見方がでてくるかと思います。

こういう考えさせられる本は、好きです。

ストーリーは、引退生活を送っている男、「私」が遠い昔の青春時代を思い出すシーンから始まります。

いくつかのことを思い出す。順不同に、

―ぬめぬめと光る手首の内側。

ー濡れた流しに笑い声とともに放り込まれる熱いフライパンと立ち上がる湯気。

ーくるくる回りながら排水口に近づき、ついに吸い込まれて、家の高さを一気に流れ下る精液の塊。

正直、個人的にこの書き出しを読んで何か不吉でいやらしい感じがしました。ちょっと精神的に拒否反応でましたね。

たまにこういうシーンがでてきて心地よく読めなかったけど、ブッカー賞受賞作品で映画化された作品という興味から最後まで読んだというのが正直な感想です。

書き出しから、嫌な感じだったので読むぺースがダウンするかと思いきや、読み進めていくと、著者のキレキレの哲学的な思考と頭の良さみたいなものがバシバシと伝わってきて興味がでてきてペースアップ。

「私」の高校時代の国語の授業の記憶。

先生がタイトルも日付も著者名もない一篇の詩を配布し、読んで考える時間を生徒に与え、答えを「私」の友人であるエイドリアンに求めた場面です。

エイドリアンは机から顔を上げ、「エロスとタナトスです、先生」と言った。

「ふむ、つづけて」

「性と死です」とエイドリアンはつづけ

「あるいは愛と死。いずれにせよ、生の本能と死の本能の衝突、そしてその衝突から派生するもろもろをうたった詩です、先生」

頭キレキレな高校生エイドリアン。

このエイドリアンが大学の頃「私」の元カノ、ベロニカと付き合った。

親友の元カノと付き合うという心持は、どういうものなのだろうか?

私には想像できないし、そんな事絶対にしたくないと思う。

親友との関係はうまくいくわけないし、彼女からは、元カレ=親友と比べられる事になるし。

「私」は、一度だけ高校時代の仲良しグループに付き合っている彼女を紹介している。そこに、エイドリアンもいた。

ここからは、私の考えだが、

この時にベロニカがエイドリアンに興味をもったのではないかと考える。ベロニカの仲良しの兄とエイドリアンが同じ大学、同じ学部だったので、興味がありお兄さんのつてを使いエイドリアンに接近し、付き合ったのではないかと考える。

その後、エイドリアンはベロニカの家族に紹介され、

その時に、

運命の人、

ベロニカのお母さんに出逢ったのだと思う。

エイドリアンは、深くベロニカのお母さんを愛し、やがて二人の愛の証、子が授かる。

そして、幸せ絶頂の時、エイドリアンは自殺。

エイドリアンは、とても幸せだった。

ベロニカのお母さんは子を産んだ40年後亡くなった。

その際「私」宛てに残した手紙にそう書いてあったし、高校時代の仲良しグループの一人とエイドリアンの自殺後はなした時、彼も同じ事を言っていた。

では、なぜ幸せ絶頂で、この先エリートの道を進めるエイドリアンが、

自殺などしたのだろうか?

多分、その理由は

「愛」だと思う。

最初の方で引用として記載した、高校時代の国語の授業でエイドリアンが答えた内容をもう一度思い出してほしい。

「エロスとタナトス」

つまり、

「愛(の欲求)と死」

エイドリアンは「愛と死」が衝突してしまったのですね。

それで自殺を。

 

不都合な記憶は忘れ、記憶は嘘をつく。

歳をとればとるほど

記憶というのはおぼろげなものになっていく。

「私」は、最後には不都合な記憶は思い出され、親友エイドリアンと元カノベロニカ、その母親の関係を、エイドリアンの日記に書いてあった内容から理解する。

エイドリアンがベロニカに恋をし、「私」からの警告・助言を受け、ベロニカの母と接するようになり、愛してしまう、やがて愛の結晶、子を授かり、自殺。

この物事の累積には、「私」も関わっており、責任があると。

こういう結末は、なんかやっぱり暗くて心がどっと重くなった。

といっても、これは私の個人的な考えから出した結論なので、他にも違った結論考えがあると思う。

友人や家族と、こういう事を話し合うのが結構好きなので、いろいろな見方ができるこういう本は良いですね。内容は暗くて好きじゃないけどね(笑)

 

 

 

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海外でしばらく生活し、日本に帰国したが、また海外で暮らしたい。 今は大好きな日本での生活を楽しみたいと思ってます。 趣味は、読書、旅行、落語、ヨガ、ランニング、壊れた物を直す事、物をエイジングする事。 本は、いろいろな事を教えてくれるから大好き。私の大先生みたいなもんです。 旅行は、学生の頃はよく一人旅行ったな。家族、パートナー、友達ともよく行く。どっちにもそれぞれの良さがあるし、旅先での出逢いっていうのはたまらなく好きだ。寅さんみたい、旅先でものすごく仲良くなってしまうっていうのはめったにないが、出逢いがあると旅はグッと面白くなる事は間違いない。 落語は、いつも古今亭志ん朝(3代目)ばっかり聞いてしまう。大ファンなのだ。声が良い。柳田格之進、文七元結、井戸の茶碗とかきくともう涙が出て出てしょうがない。代脈とかは、笑いたい時によくきく。 ヨガ、いちおインド政府公認のインストラクターの資格を持っている。だがしかし、活かせてない、、、、。という話しはさておき、ウブドに毎月行ってヨガしてたほど、ウブドでヨガするのが好き。 ランニングは、かれこれずっとやってるな。海外でもレースに出たり、国内でもやってた。だがしかし、最近レース出てないな。近所をのんびり走る事が多くなりました。ランナーズハイ、これは本当にヤバイです!たまりませんね。 壊れたものを直すのは、本当に大好き。ボンドでつけたり、縫ったりとそんな程度ですけど。物を大切に使うのも好き。一番長いのは、幼稚園の頃から使ってる湯たんぽかな。 エイジングは、お気に入りのラウンジチェア、南部鉄瓶、南部鉄の急須、バック、コート、靴。 こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします。