太郎物語-大学編-

本との出逢い

懐かしいなぁと手にとったのは、高校生の時に読んだ曽野綾子さんのこの本。

高校の時の読書感想文用の本になっていて、初めて出逢ったのがその時だった。

恥ずかしい話しなんですが、実はその頃読書という行為が非常に苦手でした。

本は年に数冊しか読まないという状況。

しかし、この本を読んだ後から非常に本が好きになり以前よりは読むようになりました。

この本は、読書好きになるきっかけをくれた、私にとってとても思い出深い本なんです。

母と太郎

この本の一番の魅力は、

お母さんと太郎の会話のやりとりだと思います。

お互いインデペンデントであり、尊重し合い、認め合い、信頼しているこの二人の間の会話がとても素敵。

太郎が親元を離れ大学に進学したある日、東京の実家に電話をした時の母との会話。

「太郎」

「何よ」

「あなた、北川大学へ入ったこと後悔してるの?」

「そんなことはない」

「学校が合わないと思ったら帰っておいで。(中略)。」

「私は固定観念が嫌いなのよ。人間はみなまちがえるからね。やってみて、まちがいだと思ったら、あっさりカブトを脱いで、でなおしたらいいよ。太郎は体力もあって、性格もわりと開けっぴろげで、皆と共同作業しても、何とかうまくやっていけると思っていたけど、そうでないなら、考えなおしたらいいよ。生きていく方法は何でもあるからね。」

みなさん、こういう会話をお母さんとした事があるだろうか?

考えて欲しい。

この会話は、入学金と学費を支払い、太郎が住むための分譲マンションを購入し、引っ越しや、一人暮らしのための準備金等を支払いしばらく大学に通ったある1年目の会話なのである。

日本の一般的な母親、無論父親もだが、こんなことを言わないのではないだろうか。

大学入った後は、就職活動になるまで、親は子と大学の話などあまりしないだろう。落第しない限り。

こんなにお金もかけたし、大学入ったら大学を卒業しなければならないという固定概念、一般的な道を歩んで欲しいと思うのが一般論。それを願うのが親なのかな。

無論、親は子供に幸せになってほしいから、一般的な道を外れ人と違うことをし苦しみ失敗する事などして欲しくないという事なのはよくわかる。大学卒業して、安定した会社で働き、お金に苦労して欲しくないのである。

子供も子供で、親の気持ちを察しレール通りの人生を歩もうとする。自分のおもいなど言わず。というか自分のおもいなどない。レールに乗り、親を安心させたほうが、うんと楽な人生だから。

親と子はスーパー依存関係にある。

全然インデペンド、独立してない関係だ。

しかも、親も子もお互いを尊重し合うというのも忘れがちで、よく人の畑を荒す。

太郎と母親の会話は、お互いを尊重し合い、信頼し、インデペンデントの上に成り立っていると感じる。

太郎と辰彦

太郎がおじさんの家に遊びに行った時、おじさんの知り合いで青木さんという親子が不登校の息子の事で相談にきてたところだった。

そして、太郎は青木さんの息子、辰彦さんは太郎のマンションから学校に通えば良いと自ら提案した。その時の太郎の言葉が面白い。

「うちへ帰ると、あのおふくろが眼鏡ずっこけさせて、内職やってるでしょ。<お帰り>とも言わないんだから。」

「(中略)青木さんも何があろうと子供が帰る時間には、家にいるけど、<お帰りなさい!>って飛び出してくるほうでしょう。」

「お言葉を返すようですけど、親ってのは、かまってくれなくてもいや、かまってくれてもいやなもんですよ」

「じゃ、どおしたらいいの?」

「どうしようもないです。したいようにして、どうしたって息子にはいいことできないんだ、って思えば、それでいいんです。」

実に面白い。

実際、親がこういうふうに割り切って子育てをするのは難しい。ただ、こういう風に思わなくっちゃ、やってられないような時もあるんじゃないかな。

親は子育てについて、このやり方で良いのか?あの時はあんなこと言ったらダメだったんじゃないか?と常に頭の片隅で反省会をしているのだ。

そんな時には、この太郎の言葉を思い出したい。

辰彦は太郎と一緒に生活し、その時辰彦は学校に行っていたが、親元に戻るとまた不登校になった。

太郎はこの事から大事な事を学んだという。

人生とは失敗して普通なのだ、という現実だった。

(中略)

小学校以来、成績はよくなったことがなく、先生にもめったに褒められたことがない、というような生徒だったら、むしろ、うまく行かないことに馴れてうまくいくのだ。

自分のためには、むしろ辰彦が学校へ行かなくなってしまった、ということを聞く方がどれだけ為になったかしれないのだろう、と太郎は考えた。

自分はどれだけ失敗を恐れ、避けてきたかなと考える。

最後に

数十年ぶりにこの本を読み終わり、やっぱり好きな本だなと思った。

高校生の時、どんな事を感じて読んだのだろうか。

ただ、この本との出逢いは、読書好きになるきっかけをくれた本であるという事。

これからも、いろいろな出逢いを失敗をしながらしていけたらいいなと思う。

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ABOUTこの記事をかいた人

海外でしばらく生活し、日本に帰国したが、また海外で暮らしたい。 今は大好きな日本での生活を楽しみたいと思ってます。 趣味は、読書、旅行、落語、ヨガ、ランニング、壊れた物を直す事、物をエイジングする事。 本は、いろいろな事を教えてくれるから大好き。私の大先生みたいなもんです。 旅行は、学生の頃はよく一人旅行ったな。家族、パートナー、友達ともよく行く。どっちにもそれぞれの良さがあるし、旅先での出逢いっていうのはたまらなく好きだ。寅さんみたい、旅先でものすごく仲良くなってしまうっていうのはめったにないが、出逢いがあると旅はグッと面白くなる事は間違いない。 落語は、いつも古今亭志ん朝(3代目)ばっかり聞いてしまう。大ファンなのだ。声が良い。柳田格之進、文七元結、井戸の茶碗とかきくともう涙が出て出てしょうがない。代脈とかは、笑いたい時によくきく。 ヨガ、いちおインド政府公認のインストラクターの資格を持っている。だがしかし、活かせてない、、、、。という話しはさておき、ウブドに毎月行ってヨガしてたほど、ウブドでヨガするのが好き。 ランニングは、かれこれずっとやってるな。海外でもレースに出たり、国内でもやってた。だがしかし、最近レース出てないな。近所をのんびり走る事が多くなりました。ランナーズハイ、これは本当にヤバイです!たまりませんね。 壊れたものを直すのは、本当に大好き。ボンドでつけたり、縫ったりとそんな程度ですけど。物を大切に使うのも好き。一番長いのは、幼稚園の頃から使ってる湯たんぽかな。 エイジングは、お気に入りのラウンジチェア、南部鉄瓶、南部鉄の急須、バック、コート、靴。 こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします。