ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅

実はこの本、ジャケ買いした!

実際は図書館で借りたのだから買ったものじゃないけど、ズバリ表紙にひかれた!

この表紙をみて、どんな内容なのかすごい興味をもった。

では早速レビューいってみよう。

ネタバレ注意です。

あらすじ

親から望まれず生まれたハロルドは、必死に母との溝をうめたい一心で母親を笑わせようと頑張る。ただその頑張りも虚しくハロルド13歳の時に母親は彼を置いてさよならも言わず出て行く。

父親は、戦地から戻ってきたあとからおかしくなり酒に溺れる。母親が出て行ってからは、いろいろな女性を家に入れハロルド16歳の時にお古のコートと電車のチケットを渡し家から追い出す。

その後、ハロルドは、朝から夜まで必死に働きモーリーンと結婚し、一人息子デイヴィットが生まれる。

だが、家族関係は徐々に崩れていく。

長年勤めた会社を退職し、モーリーンに小言を言われる生活をしていたある日、昔の同僚だったクウィニーから手紙が届く。

癌で余命がそんなにない事を知らされる。その返事をポストに出しにいくとモーリーンに伝え家を出るが、出しに行く途中で、イギリスのほぼ北にいるクウィニーに会いにハロルドが住んでるイギリスのほぼ南から約センキロ歩いて行くことを決心する。着の身着のままで、、、。

深い深い、うんと深い溝

結婚当初は、目を合わせ笑い合う夫婦だったが、子供が生まれてから徐々に夫婦の間に溝ができてくる。

モーリーンは、子供をすごくすごく愛した。だが、ハロルドは、自分の子供と面と向き合い素直に愛することができなかった。

それは、ハロルドの生まれ育った環境に原因があると思う。望まれずに生まれ、両親から愛されずに成長したハロルドは、愛され方も、愛し方もわからなかった。

だから、自分の子供にどうやって接したら良いのかがわからなかったのだと思う。愛したいのに、触ったら壊れてしまいそうで、子供を抱けなかったんじゃないかな。愛することも、愛されることも両方が怖かったんだと思う。

こういうハロルドの気持ちをモーリーンも気づいてあげればよかったのかもしれない。ただ、モーリーンとしては、我が子を抱こうともしないハロルドの態度は、愛してないの証と思い、ハロルドに対して怒りしか出てこなかったのだと思う。こういう時に、お互い自分の気持ちを伝い合い話し合う事ができてたなら溝はそんなに深くならずにすんだのかもしれない。

母親になって我が子を非常に非常に愛するモーリーンに対し、

父親になり我が子をどう愛して良いか分からず、かつ分かろうとする努力をしない無関与のハロルド。

この夫婦の溝はこうやって、子供が生まれた瞬間から徐々に始まっていく。

ある日、息子デイヴィットが溺れる。その時、モーリーンはただ叫び、ハロルドは、助けにいこうと履いてる靴の紐をほどきはじめる、、、。そうこうしているうちに、レスキューの人が気づきデイヴィットを助けだし一命をとりとめる。この事件後、モーリーンは、息子が溺れているという大事な時に、靴紐なんかほどいてるなんてありえないと、ハロルドを責めたてる。夫婦の溝は更に一気に深く深くなる。

確かに、私もモーリーンと同じ事しちゃうかもな、、、。自分は叫ぶだけで、何もしなかった自分のことは責めず、全てを旦那さんのせいにしてしまう、、、。そうしちゃうかもな、、、。

デイヴィットが悪いことをしても、モーリーン、ハロルドは共に見て見ぬふりをする。これは一見共犯の様に見えるが、実はモーリーンはハロルドに対し、怒る役をしてほしいという思いがあったのかなと思う。なのに、怒る役をしてくれないハロルドは、やっぱりデイヴィットを愛してないと。溝はもう底が見えないほど深い。

母親の強い強い強すぎる愛と、父親の無関与の愛。

この愛の間で育ったデイヴィットの心の溝は、深く深く取り返しのつかない深さまで達していた。夫婦の知らない間に、、、。

子供って、両親の事よく見てると思う。そして、両親のおもいや辛さを全部感じてそれを背負ってしまうものだと思う。喧嘩してる時なんか、耳をダンボにして聞いてみる。きっと喧嘩の原因は、自分なんだってね、、、。

特にデイヴィットは、一人っ子だったから、余計に全てを背負ってしまったのではないかと思う。

兄弟でもいて、両親の愛を分割できたのなら、もっと背負うものが少なくてすんだんじゃないかな。デイヴィットも自分のおもいを、両親に伝える事ができたらもう少し溝は埋められたかもしれない。

けどもうこれだけ、それぞれにできてる溝は簡単に埋めることはできない。

KREVA が「スタート」という曲の中でこういっている。

いったいなにが引き金

共に過ごした日々はひび割れ

でっかくなりすぎた溝は埋められないのさ接着剤じゃ

本当だよ!共に過ごした日々が全部ひび割れて、いい思い出なんか一つも出てこない、、、。本当は、楽しかった思い出もたくさんあるのに、こんなのって悲しすぎるよね、、、。

最後に

もう一度この本を手に取った理由、本の表紙についてふれてみたい。

表紙手前に描かれている小さな目立たない男性の後ろ姿はハロルド。

そして、表紙右上に小さくある白っぽい家は、モーリーンが待つハロルド、モーリーン、デイヴィット家族の家なんじゃないかと思う。

ハロルドの巡礼の旅の目的は、約センキロも離れているクウィニーに歩いて会いに行きありがとうと伝える事。

同時にそれをする事により、自分を見つめ直し自分を知り、モーリーン、デイヴィット、クウィニー達と向き合うことができず、彼等のおもいを無視してきた過去と向き合う自分の旅。

つまり、この表紙の絵はハロルドがクウィニーとの再会を遂げ、本当の最終目的地である自分の家族が待つ家に帰る、というのを描いているのだ。

家族って、唯一血の繋がりがある切っても切れないかけがえのない宝物だと思う。

自分の気持ちや思っていることはなるべく伝える努力をする。これってかなり勇気とエネルギーが必要だと思う。

だってもし自分のおもいを伝えたことで、この関係が悪くなってしまうかもしれないし、嫌われてしまうかもしれないし。

相手の気持ちになる事も大事だよね。

ハロルド、モーリーン、デイヴィット、それぞれも自分の気持ちをもっと伝える努力をしていれば溝は浅くてすんだのかもしれないよね。

いろいろ考えてなんかハチャメチャなレビューになったけど、

人生は短いから、なるべくおもいは相手に伝える努力をし相手をおもい、できた溝は早めに修復する努力をしたいと思った。

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ABOUTこの記事をかいた人

海外でしばらく生活し、日本に帰国したが、また海外で暮らしたい。 今は大好きな日本での生活を楽しみたいと思ってます。 趣味は、読書、旅行、落語、ヨガ、ランニング、壊れた物を直す事、物をエイジングする事。 本は、いろいろな事を教えてくれるから大好き。私の大先生みたいなもんです。 旅行は、学生の頃はよく一人旅行ったな。家族、パートナー、友達ともよく行く。どっちにもそれぞれの良さがあるし、旅先での出逢いっていうのはたまらなく好きだ。寅さんみたい、旅先でものすごく仲良くなってしまうっていうのはめったにないが、出逢いがあると旅はグッと面白くなる事は間違いない。 落語は、いつも古今亭志ん朝(3代目)ばっかり聞いてしまう。大ファンなのだ。声が良い。柳田格之進、文七元結、井戸の茶碗とかきくともう涙が出て出てしょうがない。代脈とかは、笑いたい時によくきく。 ヨガ、いちおインド政府公認のインストラクターの資格を持っている。だがしかし、活かせてない、、、、。という話しはさておき、ウブドに毎月行ってヨガしてたほど、ウブドでヨガするのが好き。 ランニングは、かれこれずっとやってるな。海外でもレースに出たり、国内でもやってた。だがしかし、最近レース出てないな。近所をのんびり走る事が多くなりました。ランナーズハイ、これは本当にヤバイです!たまりませんね。 壊れたものを直すのは、本当に大好き。ボンドでつけたり、縫ったりとそんな程度ですけど。物を大切に使うのも好き。一番長いのは、幼稚園の頃から使ってる湯たんぽかな。 エイジングは、お気に入りのラウンジチェア、南部鉄瓶、南部鉄の急須、バック、コート、靴。 こんな私ですが、どうぞよろしくお願いします。